今日は心理検査の話をしたいと思います。
以前、教師にだけはならないと決意したSちゃんについて書きました。
しかし彼女には、教育界でぜひとも解明しなければならないことがあったのです。
そのひとつは、彼女が8歳(小学2年生)のときに初めて体験した不思議なお絵描きの謎。
当時、彼女のクラスで担任の先生のシールセットがなくなる事件がありました。今と違い、いろいろなシールが手に入らなかった時代。担任の先生が何かのときに貼ってくれるかわいいシールは、子どもたちの憧れでした。それがある日、箱ごとなくなったのです。
担任は、クラスの子どもたちに向かって、先生はあなたたちを信じているけれど、もし間違って持って帰った人がいたら、明日までに先生に申し出るか、そっと返してくださいと言いました。そして、もし、明日までにシールが返ってこなかったら、
「先生は嘘を見抜くテストをします。」
と話し、その日は下校時間になったのです。
帰り道、子どもたちはシールの行方についての話題で持ちきりでした。中には◯◯さんが怪しいといった噂もありましたが、Sちゃんの頭の中は、嘘を見抜くテストのことでいっぱい・・・。世の中にそんな素晴らしいものが存在するなら、見てみたい!明日の朝、シールが戻っていませんようにと、不謹慎なことを考えていました。
そして翌朝、Sちゃんの祈りが届いたのか、シールは戻ってきていませんでした。担任の先生は約束どおり、嘘を見抜くテストをすることになり、子どもたちに1枚の紙を配ったのです。そして、「1本の実のなる木を描きなさい。」と言いました。これがSちゃんが臨床心理学でいうところの心理アセスメント(心理検査)に出会った瞬間でした。
… to be continued