「もうええ…としか、思わんかった。最後はもう、◯◯子とふたり、逃げもしなかった。」
終戦間近、空襲警報が鳴り止まぬ夜。
避難の意欲もなくした祖母は、当時4歳だった父の姉を抱いて布団の上で、そう感じたと、生前何度も話してくれました。
「相手は飛行機、敵兵が来たら、竹槍でやーっと突き刺すなんて、私みたいに学(歴)のない者も含めて、みーんな、どう考えてもおかしいと知ってたけど、言い出せないあの雰囲気、可笑しかった。」
飛行機や竹槍とはちょっと違うけど、今も同じような雰囲気が漂うと思うのは、気のせいであってほしい。もの言わぬ墓石に手を合わせながら、そんなことを考える制限がない夏。