『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』
大学時代、初めてこの文章を目にしたとき、幼児教育はなんてすごい仕事なんだろう!と感動したことを覚えています。学生の頃はレポートにも何度か引用させていただいていました。
その後も「人生に必要な知恵は、すべて幼稚園の砂場で学ぶ」というフレーズは保育者養成校や初任者研修で、よく使われているようですが、私が保育学生の講義を担当するときは、使いません。保育士や幼稚園の先生が子どもたちの人間形成に関わる大切な仕事」ということに異論はありませんが、この本全体の趣旨を理解せず、この言葉だけを切り取って、保育者の「やりがい」を強調することに、疑問を感じるからかもしれません。
先日、またこの本を手にする機会があり、再読しています。
保育者養成の資料としてではなく、生活の中でこんな気持ちを大切にできたら、生きやすい世の中になるだろうなあ・・・。
人間、どう生きるか、どのようにふるまい、どんな気持ちで日々を送ればいいか。
本当に知っていなくてはならないことをわたしは全部残らず幼稚園で教わった。
人生の知恵は大学院という山のてっぺんにあるのではなく、幼稚園の砂場に埋まっていたのである。
わたしはそこで何を学んだろうか。
・何でもみんなで分け合うこと。
・ずるをしないこと。
・人をぶたないこと。
・使ったものは必ず元の場所に戻すこと。
・ちらかしたら自分で後片付けをすること。
・人のものに手を出さないこと。
・誰かを傷つけたらごめんなさいということ。
・食事の前には必ず手を洗うこと。
・トイレに行ったらちゃんと水を流すこと。
・焼きたてのクッキーと冷たいミルクは体にいい。
・釣り合いのとれた生活をすること。
毎日少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして少し働くこと。
・毎日、必ず昼寝をすること。
・おもてに出る時は車に気をつけ、手をつないではなればなれにならないようにすること。
・不思議だな、と思う気持ちを大切にすること。
・カップにまいた小さな種のことを忘れないように。
種から芽が出て、根が伸びて、草花が育つ。どうしてそんなことが起こるのか。本当の所は誰も知らない。でも人間だっておんなじだ。金魚もハムスターもはつかねずみも、カップにまいた小さな種さえも、いつかは死ぬ。人間も死から逃れることはできない。
・子どもの本で最初に覚えた言葉を思い出そう。
・何より大切な意味を持つ言葉。「見てごらん」
ロバート・フルガム著より