今日、希望のタネを蒔きました

療育現場の所長日記です。

100歳を目前にした祖母が言うには…

拝啓

桜の花が咲き始める季節になりました。先日はお手紙をいただき、ありがとうございました。4月からは新天地で暮らされるとのこと、寂しく思う反面、その中でいろいろな体験ができるのではという期待に似た想いもあり、まずは心からのエールを贈りたいと思います。

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お手紙の中で、ご自分の思うような進路がとれずに葛藤したこと、決して望んだ未来に進むわけではないということを書かれていましたね。努力が実らず、やりきれない思いをされたことも知りました。時勢とはいえ、悔しい気持ちでいっぱいだったことと思います。そのことに関しては、かける言葉も見つかりません。

ただ「これで自分の未来は決まった」という一言には、疑問が残ります。私の粗末な人生経験においても、ひとつのライフイベントくらいで決まるほど、人生は単純ではないことをいくつも見聞きし、経験してきました。

先日もお子さまの進路に悩まれるお母様にその話をしたところで、受験や就職など、そのときはうまくいったかに思えても、そうではないことが、多々あります。現に偏差値はその後の人生を保証しませんし、一流企業に就職しても、社会の不条理に絶望し、自ら命を絶つ方もいらっしゃいます。

私の祖母が戦争時代の悲惨な状況をくぐり抜けた体験から、いつも言う言葉があります。「人生には裏表がある。表が出ても油断するな、裏が出ても悲観するな」もし今が裏ならば、いつか表の面が出る日が来る…。100歳を目前にした人が言うのだから、あながち間違いではないかもと思う毎日です。

まだまだ書きたいことはありますが、一旦、筆を置きます。桜の花が散る頃に、またお便りしますね。季節柄、十分、ご自愛ください。 敬具