今日、希望のタネを蒔きました

療育現場の所長日記です。

耳ざわりの良い言葉?

私は保育士養成校の講義において、毎回、メモに質問や要望、感想を書いてもらう時間を設けています。
その日のテーマについての感想や疑問に思ったことを書く学生が多いのですが、時には就職や自分自身についての相談を記す人もいるので、丁寧に目を通し、できるだけ回答するようにしています。

f:id:ashikatan:20171104215739j:image

先日の単元は「保護者対応」
ベテランの先生たちでも肝を冷やすほど難しいのに、数か月前まで高校生だった学生にどのくらい伝わるのかわかりませんが、一応、セオリー通りの内容を講義しました。
その後、1本のDVD(難病を抱え、保護者同伴登園をしている幼稚園児がテーマ)を視聴させ、「自分のクラスにこの子どもがいた場合、担任として、どのように保護者にかかわるか?」という内容でメモを書いてもらいました。

目を通すと・・・。
「1日でも保護者同伴しなくてよい方法がないか考える」というものもありましたが「母親に寄り添う」、「母親の気持ちを受け入れる」、「できるだけ話を聞く」、「母親の小さな変化を見逃さない」といった保育者の姿勢に関するものが大半で、自分で教えておきながら言うのもおかしいのですが、きれいな言葉で結論づけられているものが多い気がしました。

その中で一人の学生はこのように書いていました。
お母さんの悩みを聞き、問題があれば一緒に解決する。でも何をしてあげるべきなのかわかりません。話を聞くだけなら誰でもできるけど、解決の方法はわかりません。

心理・福祉・教育保育といった業界人は、「受容」、「共感」、「寄り添い」といった耳ざわりの良い言葉が大好きです。もちろん対人援助において「そんなこと自分で考えなさい」ではなく、一緒に考え寄り添う姿勢は大切ですが、それだけでは解決できない保護者の悩みや課題があることは、心に留めておく必要があると思います。