この手の本を開くと、とても親切に保護者対応の方法が書かれています。事例をあげて、こんな対応が◯、こんな言い方は×、保護者はこういう風に言われたら辛い、うれしい!などなど。この通りにできれば、先生も保護者も子どももみんなハッピーのはず…なのですが(苦笑)。
この手のマニュアルの落とし穴は、相手の見えない気持ちの見落としです。現在の心理学は相手の表情や行動など、評価しやすい部分に注目しているせいか、カウンセリングの流れさえ、ああ言えばこう言う、こんな事例にはこんな風に答えるというように、マニュアル化しようとする傾向があります。でも実は、辛くても表情には出さない人もいますし、悲しくても声のトーンが変わらない人もいます。何より、時間の経過とともに何とも言い難い不安や不快な気持ちが湧いてくる方もいらっしゃいます。
だからこそ、相手にとってあまりうれしくない話をする場合、伝える技術よりも、その揺れる気持ちに付き合い続ける覚悟が必要な気がします。
ある詠み人知らずの一句…
今日もまた 答えの出ないため息を つづったノートに そっとため息