今日、希望のタネを蒔きました

療育現場の所長日記です。

この時代に生まれてきたから

今年度も終わりを迎え、子どもたちも無事に卒園、進級と新たな道を歩き始めました。

先日、1年間、給食をご一緒させていただいたクラスの子どもたちと担任の先生から、ステキなプレゼントをいただきました。
小さな手で、一生懸命に折ってくれたチューリップや笑顔の写真を見ると、普段は教職課程の学生に同情的な目を向ける私でさえ、この仕事も悪くないと思ってみたり・・・。

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昨日は、幼稚園の卒園式がありました。

泣きじゃくるその手を握り、時には抱きかかえて保育室まで送っていた子どもたちが大きな声で返事をし、卒園証書を受け取っているのを見ると、毎年のこととはいえ、感慨深いものがあります。

この子たちが入園したのは3年前
まだコロナの影響がない時代でした。

時はめぐり、ここまで必要か⁉️と思うくらいの感染対策の下、一変した生活が始まり、本来、体験できたはずのことが一つ一つ削られた世代物心ついた頃には、「新しい生活様式」が当たり前になってしまった世代の子どもたちです。

マスクの下、一生懸命に歌っていた姿に思わず涙した歌詞。

はじめの一歩 あしたに一歩
勇気を持って大きく 一歩 歩き出せ
信じることを 忘れちゃいけない
必ず朝は おとずれるから
ぼくらの夢を なくしちゃいけない
きっといつかは かなうはずだよ
 新沢としひこ作詞/中川ひろたか作曲「はじめの一歩」より

時代やオトナの都合に巻き込まれた子どもたちの未来が、どうか明るいものでありますように。

 

 

クレーム

ピンポーン♪

こんな時間に誰だろう?到着予定の本はポスト配達のはず…

◯◯(配送業者)です、お荷物がポストに入らなかったのでお持ちしました。

わざわざありがとうございます。

いえ、あの、先程、お荷物を落としてしまい、(本が入った封筒を指差しながら)ここに穴があいてしまいました。

全然、大丈夫ですよ。

本当にすみません!

といったやり取りのあと、何度も頭を下げられて帰って行かれる配達の方の後姿を見送りながら、なんだか気の毒になりました。
パッケージに穴が開いたくらいで(中身の破損はない)、丁寧な方だなあと思ったのですが、そうえいば先日、インターネット記事で配達トラブル?を見たことを思い出しました。

・交通事情で、時間通りに届けられなかった配達員を罵倒する。
・配達員から受け取る際、配達員の手と荷物にアルコールスプレーをかける。
・隣家のものと間違って届けてしまい、取り換えを申し出ると、配達員に土下座を命じる・・・などなど。

いろいろな事情はあるのでしょうが、他者に対して、必要以上に頭を下げることを強要する・・・いつから、こんな日常になったのかしら?

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さて、読み始めましょうか。
全くの奇遇ですが)なかなかおもしろそうな本の帯だこと〃艸〃)ムフッ!

 

コロナ禍に思う

コロナが落ち着いたら・・・
という言葉が飛び交う中、尊敬していた元上司が昨年春、亡くなっていたことを知りました。

本当にパワフルな方で、肝っ玉母さんと呼ばれるのにふさわしい人でした。
私の拙い講義に対して、「先生、すばらしいお授業でございましたよ!」とほめてくださることもあれば、とあるトラブルで目を赤くした時、「ここは泣く場所ではありません!泣くならお便所で泣いてきなさい!」と叱責されたこともありました。

めまいを起こして、静養していると、元医療職の重鎮としての雰囲気そのままに、さっとお薬を差し出し、遠慮する私に「じゃあ先生、10円ちょうだい。診察とお薬の代金ね。」と言葉をくださるユーモアにあふれた方でした。

何度か、保護者面談に同席させていただきましたが、子どもの問題に関しては、保護者や私が驚くほど、厳しい態度で説諭されていました。
しかしその反面、保護者の苦労に共感しながら、最後は笑顔で帰らせる温かい方でした。

訃報を伝えてくれた方に「(コロナが)落ち着いたらお墓参りに行きましょう。」という言葉をいただいた私は、複雑な心境です。
世間の状況を考えると、お墓参りどころか、私が参られる側にならないとも限らない。

コロナが落ち着いたら・・・
古いアルバムをめくりながら、元上司のご冥福と、この言葉を使わなくてもよい日が来ることを、心からお祈りしています。

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海の向こうへ

海を隔てた地に住む友達から、LINEが届きました。
そう言えば、ポツポツの連絡が途絶えて、どれくらいになるのかしら?

読み進めると私が知らなかったことばかりで、世の中の移り変わりに改めて気付かされました。

それにしても、かなりの量にもかかわらず、誤字もなく一度読めば、内容が理解できる素晴らしい文章!
確かに昔から彼女は賢い人だったなあ。

ふと考えると、彼女の頭の良さを差し引いても、同世代の私の友達はみんな文章を書くことが上手です。
スマホなどなかった世代、学校で話し足りないことは、手紙や交換日記を通して、自分の思いを相手に伝えていました。
その中でどうすれば相手に伝わるのか、四苦八苦しながら、言葉の選び方を身につけていったのかもしれません。

スマホのやり取りで使う絵文字やスタンプは便利です。
視覚的にもインパクトが強く、相手に伝わりやすいので、私もよく利用しますが、言葉で伝える力が衰えないよう、気をつけなくてはΣ('◉⌓◉’)…と言いつつ、使ってしまうあたり、慣れとは怖いものですね。

追伸
海の向こうだけでなく、すべての人に求める春がきますように。

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おこさまランチ

もう随分、前のお話しです。

場所は某ファミレスっぽいレストラン。
カップルがメニューをのぞきこみ、注文するものを決めています。
「何にする?」と問いかける男性に対して「う~ん、いっぱいあって迷っちゃう!」とお決まりのシーンを演じる女性。
早く決めてよ!といら立つ気持ちをぐっと抑えて笑顔で待っているお店の方(゚∀゚)。

わたし、お子様ランチが食べたいな❤」とワントーン高い声で伝える女性に「申し訳ございません!当店のお子様ランチは小学生以下のお子様が対象です!」という声が聞こえてきたので、思わず苦笑い( ̄∀ ̄)

ワントーン高い声の女性は、どんな顔をしたのかしら?

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しかし最近、おこさまランチを希望する大人が増えているという記事を見かけました。
デートでかわいく見せるためのセレクトか?穿った見方をしてしまいましたが、どうも事情は異なるようです。
おこさまランチの魅力は、品数の多さと量
えびフライにハンバーグ、ポテト、からあげ、型抜きケチャップライスにプリンというラインナップは、少しずついろいろなものを食べたい人にとって、ピッタリのメニューです。

それならば、「おこさま→おこのみ」ランチに名前を変えて、売り出せば儲かる?と下世話なことを考えましたが、そうはうまくいかないようです。
飲食店に言わせれば、いろいろな種類を一皿にのせるため、食材や手間のコスト面から、年齢制限をせずにおこさまランチを提供するのは、難しいとか・・・。

大きくなってから、幼い頃に体験できなかったことを取り返すことは、それなりに大きなコストが、かかるのかもしれません。

 

怖くない、怖くない?

幼稚園から支援センターに続く通路に、以前から気になるものがあります。
一瞬、小鳥がはさまっているのかしら?と思い、鳥嫌いの私はぞっとしました。

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恐る恐る近寄ってみると・・・。

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幽霊の正体見たり枯れ尾花
怖い怖いと思っていると、何でも恐ろしいものに見えてしまうというのは、本当かもしれません。

うん、怖くない怖くない・・・
自分で自分に言い聞かせながら、明日も歩き続けます。





給食

冬休みのお話です。
長期休業中は、ランチルームで給食を食べるので、そこで食事をとる4,5歳児の様子を見ることができます。

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ある日のこと・・・。
ランチルームの隅で黙食していると、5歳児の子どもたちがやってきました。
みんな好きな席に自分の水筒を置き、ランチョンマットを広げて食事の準備をしていきます。
すると、最後に入って来たTちゃんが、悲しそうに立っています。
1つのテーブルに座れる人数が限られているため、どこのテーブルにも場所がなく、1人で食べることになってしまったようでした。

さてどうするのかな?

普段から友達の表情に人一倍、敏感なYちゃんがTちゃんに気づきました
Yちゃんは準備したランチョンマットを片付け、Tちゃんのテーブルに移ります。
それを見たMちゃんもあとに続き、Sちゃんも移ろうとしたのですが・・・。

そうなると今度は、最初に3人が使っていたテーブルにWちゃんが、ポツンと取り残される形になってしまいます。
すぐに3人は会合を始めました

「3人ともTちゃんのとこ行ったら、Wちゃんが一人になっちゃう。」
「えっと、Yちゃん、Mちゃん、Sちゃん、Wちゃん、Tちゃんで5人でしょ?前は一つのお机に6人だったけど、今はコロナだから4人までだよ。」
「じゃあ、4人と1人?でも1人はかわいそう。」
「じゃあ2人と3人にする?」

先生たちが配膳にいそしんでいる間、子どもたちは友達を気遣うという「道徳」を実践し、席数を考えると言う算数の「数の分解」単元を見事にこなしています。

ドリル学習も大切ですが、生活の中での学びもなかなかのものだと思ったワンシーンでした。