今日、希望のタネを蒔きました

療育現場の所長日記です。

お彼岸

今年のお盆、お墓参りの際、いつになく娘が熱心に手を合わせていました。
いつもなら形だけなのに、どうしたのかと思って聞いてみると「ママが私にうるさく言わないように、ばあちゃんにお願いしていた!」と言います。お墓で眠る彼女の曾祖母に頼まなくても・・・と思いましたが「ママはキヨコばあちゃんの言うことしか聞かない。他の人が言ってもムダムダ!」とのこと(笑)。
どうやら私の素行は天国にいる先祖に筒抜けのようです。

ちょうど9月の後半、なぜか娘が手を合わせた祖父母に会いたくてたまらない時期がありました。その時、出てきたお守りの中にあったのは、私が祖父の形見にもらった自筆のメモです。
人をもてなすのが大好きだった祖父。
年末年始やお盆、節分、クリスマスと口実を見つけては飲み会を催すことが生きがいで、そのたびにあいさつ文を考えていました。死期を悟ったときも、自らお別れ会を開きにぎやかなひと時を過ごすような人でした。

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後で気づいたのですが、私が祖父母に会いたかった時期はお彼岸。
日々に追われ、お墓参りさえ忘れていた私のそばに祖父が来ていたのかもしれません。

おじいちゃん、私にあなたは見えません。
けれどもそこからは・・・私のことが見えますか?

あといくつ数えたら?

夏に体調を崩すのは例年のことなのですが、頭痛薬の量がどんどん増えるので、脳外科を受診。医師に「MRIチェックしましょう。」と言われたので、15年ぶりにあのトンネルの中に入ってきました。

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金属等のチェックを受け、いよいよMRI室に入ると技師さんから説明があります。音楽が聞こえるヘッドフォンを耳にかけてくれ、「では今から始めます。すごくうるさいですが、20分くらいがんばってくださいね。どうしても我慢ができなければこのボタンを押してください。」と笑顔を向けられました。

「・・・・・すごくうるさい!?」、「20分がんばる!?」、「我慢できないって!?」などなど、未知の恐怖に弱い私はそれだけで心臓がバクバクしてきました。
横になりベッドがトンネル内に移動すると、もう逃げることはできません。覚悟を決めて目を閉じると、ガンガンドンドン音が聞こえてきます。まあうるさいけれど、幼稚園で過ごす時間が長いと、これくらいの音は我慢できる・・・
ただ目を開けると数センチ上まで塞がれており、これには息が詰まりそうになりました。そう言えば、MRI室の前にあった注意書「閉所恐怖症の方はお申し出ください。」ってこういうことか・・・。と思いましたが、目を閉じて時間をやり過ごすしかありません。ドンドン、ビービー、カンカン・・・音は様々に変化していきます。
この間、次に聞こえてくる音、残り時間、「大丈夫ですか?」という声かけがあれば、安心して検査が受けられるかもしれないなあ・・・と考えていました。

先の見えない苦痛には不安が伴います。今の状況に対する説明や情報、他者の気遣いがあることは、苦痛を耐え忍ぶ支えになります。

ちなみに検査結果は異状なしでした。いろいろご助言をくださった皆さま、ご心配をおかけしました。ありがとうございました。

クレームを減らすには?

他県での食事・・・。
いろいろと珍しいものがあるはずなのに、味や値段、完全禁煙か否か(これ大事!)など気にかかることがあり、つい安全な場所で食べることになってしまいます。先日も「とある安全なお店」に行きましたが、なかなかおもしろい取り組みを見せていただきました。

まず、入店すると受付機があり前に立つと「ただ今の待ち時間△分です。ご了承の上、次にお進みください。」と表示されます。
次に来店人数を入れますが「1人」というボタンを押すとその時点で「ご案内できるお席は2人掛け、またはカウンターです。ご了承ください。」と出てきます。
しばらく待っていると、「17番のお客様、お席のご用意ができました。16番のお客様、ご希望されているお席の準備はまだですので、17番のお客様を先にご案内いたします。」という案内がありました。

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とにかく徹底した説明と、客は提示された条件を自己責任で選ぶというシステムが確立されており、これならば「長く待たされた。」、「狭い席に座らされた。」、「自分より遅く入ってきた人に先を越された。」というクレームはなさそうです。

「いいシステムですね。」と会計時にお店の方に話しかけると、「ありがとうございます。」とまじめな顔で答えてくださり、こそっと笑顔でささやかれました。

「待ち時間やお席のクレームは減りました。でもですね、次から次へと出てきますから、お客様の要望は(笑)・・・。

折れた木

台風から一夜明けました。
皆さま、お変わりなくお過ごしですか?

昨日は強い雨に加えて大風。
たまたま帰省していた実家の木々も大きく揺れていました。

しばらくして外を見ると・・・

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そのうちの一本が折れてしまい、無残な姿になっていました。
幹もしっかりしているのにどうしたのかしら?と思い、庭にある他の木も見てみました。
すると、本当にがっしりしている松の木は風に揺れながらも、元の姿勢を崩しません。
母が大切にしている牡丹のように細い茎の花は、風の向きに合わせてしなり、折れることはありません。
結局、折れたのは毎年きれいな花を咲かせてくれたこのロウバイだけでした。

今日、もう一度折れた木を見てみると、幹に虫がついて腐りかかっています。
おそらく残された幹では、大風に耐えられなかったのでしょう。

大きな試練に遭っても、本当にがっしりした力、その場の状況に合わせてしなる力があれば倒れません
しかし見かけはともかく、その内部に問題があると、何かの折にぽきっと折れてしまうことがあります。
当たり前のことですが、普段、忘れかけていたことを自然の摂理に思い出させてもらった気がしています。

意地悪な提案

現在、ある事情で小さな「命」を育てています。

最初の頃はそれほど気温も高くなかったので、2日くらい水やりしなくてもすくすく育ってくれていました。

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ところが陽射しが強くなってくると、朝、水やりしても夕方にはこのありさまで、一時も気が抜けなくなってきました。 

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朝夕の水やり、風の強い日は鉢が倒れないように移動、陽射しが強すぎる日は日陰にもっていくなど、結構、面倒なことが増えていきます。そうでなくても、いろいろな案件に腐心していますので、このお役目、代わってもらえないかなあとか、時には花の存在そのものをうとましく思う日もありました。。

そんなある日・・・。
外を見るとそれぞれが色とりどりの花をつけています。
些細なことですが、それまでの苦労を忘れるくらい、うれしく思えました。

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考えてみれば、子育ても同じかもしれません。初めは小さくて、ある程度、親の想いの範疇で育ってくれます。しかし子どもの成長とともに、大変なことが増えていくし、何か事件が起こると、親の責任が厳しく問われます。以前のようにある程度の学歴があれば、就職、結婚とそれなりの人生が約束されていたのは、過去の話。

昨今、偉い先生方のお話をうかがうと、親であれば〇〇すべき、親であれば△△して当たり前という無言の圧力を感じることがあります。でもまずはその前に偉い先生方自身が何か一つの「花」を育ててみることを提案します。もしかすると、理想や理念だけではできない「御業」が見えてくるかもしれません。

 

パン作り

すごく稀に、朝のパンを焼くことがあります。

面倒な生地作りはホームベーカリーにお願いし、できあがった生地を成形して焼くだけ…という、失敗のしようがないくらいに簡単な行程ですが、先日は大失敗をしてしまいました。

ちょっと柔らかいパンにしよう!と思い立ち、いつもより牛乳をほんの少し多めに入れてみました。すると、ホームベーカリーから取り出せないくらい生地がベタついています。成形などできるはずもなく、近くにあったマフィンの紙型に入れることにしました。

なんとか無事に焼きあがったのですが・・・。

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今度はマフィンの紙型がパンにくっついてはがすことができません。半分以上、紙に残ったパンをはがしながら、苛立ちと残念さを感じました。

しばらく格闘しましたが、面倒になってきたので、気分を入れ替えようと放置することにしました。放置すること60分、何気なく紙をはがすと、びっくりするくらいきれいに取れます!後で調べると、時間をおくことでパンの水分が紙に回り、はがれやすくなるとのこと・・・。最初のいくつかは、もったいないことをしたなあ・・・。

生きているとどうしようもないことが起きます。
そんなとき、躍起になってもがく努力も大切ですが、あえて一歩退いて静観することも必要なのかもしれません。そんなことを感じるある日のパン作りでした。

個人差

世の中の皆様が苦手とする爬虫類、ゴキブリの類は割と平気なのですが、私の天敵は鳥類です。特に公園や駅にいる人なれした鳩は、見るのも羽ばたきの音を聞くのも嫌なくらい苦手な生き物です。

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それが最近、我が家のベランダに姿を見せるようになりました。特に朝はバタバタと羽ばたく音が聞こえますし、時には手すりにとまり、私と目を合わすことも増えてきました。
これは大変!いろいろな書物やインターネットで情報をあさってみたところ、私にとっては恐怖以外の何物でもない鳩は、鳥獣保護法の関係で捕獲や巣の撤去、むやみに傷つけることは禁止されているとのこと・・・。手が出せない分、どんどんと被害が大きくなる・・・とのことでした。

そうも言っていられないので、鳥よけのとげとげや忌避剤スプレーを用意し、対抗してみましたが鳩との戦いは長期戦が予想されました。

そんな時、ア〇ゾンでこんなものを見つけたのです。

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害獣や害鳥をセンサーでキャッチして、超音波や光で追い払うという仕組みです。
口コミにはいろいろな意見がありましたが、とにかく彼らと戦うために、購入してみることにしました。

センサーは強に合わせ、少しの気配でも作動するようにセットし、音、光などすべての機能が使える設定にしてみますと、その次の朝からはベランダにとまることはなくなりました。近くに寄ってきて羽ばたくと、すぐにセンサーが反応するので逃げているようです(といっても皆無ではなく、あと数個購入を検討中・・・(笑))。

ひとまず一件落着・・・に思えたのですが、問題は人間でした。
私は音は聞こえても、気持ち悪いという感覚はないのですが、中には別室にいても「耳がキンキンする!」、「超音波が気持ち悪い!」と言う人もいます。
よく見ていると鳩も同じで、超音波刺激ですぐに逃げ出すのもいれば、あまり気にならずに近くまで来ようとするのもいました。鳩にも「個人差」はあるのかしら(泣)。

発達心理学や教育相談でよく聞かれる「個人差」ですが、同じ刺激を与えても、結果は異なります。
時に教育相談の場で、「あのとき~していれば」というお声を聞くことがありますが、受け手にも個人差があり、「〇〇しておけば絶対に大丈夫」というセオリーはないような気がします。逆に言えば、「~していた」としても、思うような結果が得られていない可能性もあるかもしれません。