今日、希望のタネを蒔きました

療育現場の所長日記です。

子どもの「空想」が教えてくれること

当支援センターの療育では、

・語彙を増やす。

・助詞の活用を学ぶ。

・記憶力や推察力を高める。

・登場人物の気持ちを考えることを通して、

   他者の視点を理解する。

ことなどを目的に、昔話カードを使うことがあります。

 

子どもと一緒に絵本を読み、そのテーマに合った童謡を歌い、最後に絵カードをストーリー順に並べさせるという内容で、集中して話を聞く訓練にもなる楽しい課題です。

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ある子どもが私にこんなことを聞きました。

「なんで、かぐやひめは月に帰ったの?」

私が「なんでだと思う?」と聞き返すと、

「あのね、お母さんとお父さんが怒るから!」

 

心理テストには「投影法」と呼ばれる種類のものがあります。どのようにも解釈できる絵を見せて、何に見えるかを答えさせ、結果を分析していく方法です。

大学時代、長年、臨床現場におられた教授は、「投影法の中で語られる空想をバカにしてはいけない。空想は人間の経験(テレビや本など2次元を含めて)を超えることはない。空想で語られた中身にこそ、支援のヒントがある。」と何度もおっしゃっていたことを思い出しました。

 

子どもたちが話してくれることを丁寧に聞き取る姿勢を大切にしていきたいと思います。

秋の夜長に思うこと 〜療育の先にあるものは?〜

秋の訪れを感じる夜、久々に壁面製作をしてみました。

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幼稚園には、主任先生が素敵な秋の壁面を飾ってくれたので、支援センターに持って行こうと思います。◯◯ちゃんや△△ちゃんは、気づいてくれるかな?

 

もう何年も前に参加した研修会で、こんなお話がありました。

子どもたちが生活するのは、幼稚園や保育園、学校や地域社会であり、療育センターではありません。

今、考えると当たり前の話ですが、当時はいじめや不登校問題が教育界をにぎわせていました。その対応として文科省スクールカウンセラーを導入し、いわゆる「心の専門家」がカウンセリング室で活躍し始めた時期です。
私自身を振り返っても、その頃はカウンセリング室内での支援を中心に考えており、(守秘義務という縛りもありますが)あまり外部との連携には積極的でなかったような気がします。

しかし、療育の最終地点は、療育センターの中で「できる活動を増やす」ことではありません。子どもたちが生活する本来の場所(保育園・幼稚園・学校・地域社会など)で自立し、楽しく生活できるようになることが療育本来の目的です。

現に、少人数で個別にかかわる療育センターでは、普段の生活で苦手なこと(集中して話を聞く、製作活動をする、トラブルなく遊ぶなど)が「できる」子どもたちもいます。でも、実際の生活の場で子どもたちが楽しく過ごせるためには何が必要なのか・・・。
今日も先生たちと一緒に考え続けています。

 

とかくこの世は住みにくい ②

台風の季節が続いています。

こんな時は体調を崩したり、物ごとが停滞したり、普段なら気にならないような些細なことに心が騒いだり・・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私自身もさすがに、不摂生な生活が続いていることを反省し、少し前からグリーンスムージーを始めました。

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葉物野菜と生フルーツってどんな味?と少々不安でしたが、意外と普通に飲めるので、最近ではいろいろなフレーバーを開拓することが楽しみになりました。

さらにあのミキサーの回転を見ていると、悩みや嫌なこと自体がミキシングされていくような気がして、ストレス解消になります(笑)。  

f:id:ashikatan:20161006002506j:plain今話題になっている某ブログの方には叱られるかもしれませんが、誰しも生きているのがしんどいなあと思うときがあります。特に相手(親、夫婦、子ども、友人、ご近所さん、嫁姑、職場の人、恋人など)があることは、自分ではどうしようもありません。今のように気候が悪いと、もやもやイライラにダブルパンチで、心身ともに不調をきたす人がいても不思議ではないのです。

ストレス解消の方法は人によって異なりますが、

「辛いこと、いやなこと、煩わしい日常をミキサーでスムージーにしよう大作戦!」

健康にもよいこの方法、おすすめです。

迷い

以前から感じていた違和感は、この赤の財布が原因では?と思い始めたのは数日前。
本来、黒、紺、茶が基本で、チェック柄とリボンがトレンドの私にとって、今使っている財布は違う!という結論に至り、思い切って買い替えることにしました。

お店に入って気づいたのは、今の季節・・・。
昔から春に財布を買うと「財布が張る(はる)」、秋に買うと「財布が空き(あき)」と言われています。縁起をかつぐわけではありませんが、迷っていたその時、間髪入れず聞こえてきたのはコマーシャルのアナウンス、「秋はお財布購入のチャンスです。「実りの秋」にちなんでお金がしっかり貯まります 云々・・・」

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確かこのお店、春に来たときは「春はお財布購入の季節です・・・」と言っていたような気がしますが(笑)。


事の真相はよくわかりませんが、どちらともとれるようなことに関して、どちらに決めるのか、結局は本人に委ねられています。難しいのはどちらを選択しても後にならないと、自分の選択が正しかったかどうかはわからないということ。
財布の購入くらいならまだしも、まだはっきりと「障害」という名がつかない幼い子どもに「療育」を受けさせるか否か、よく見られる下記の2つの意見に対して、その選択は難しいと思います。

 「子どもの問題(障害)は早期に発見して、早期に療育することで軽減されます。」


「あまりに早すぎる問題(障害)の診断は、子どもへのレッテル貼りでしかありません。子どもの発達を信じて様子をみましょう。」

立場的には前者の姿勢を取りつつも、私自身、完全に後者の意見を否定する勇気はありません。だからこそせめて、勇気を出して療育センターの門を叩いてくれた保護者や子どもたちを、笑顔で迎え、できることを一緒に考えていく、一緒に悩み、一緒に喜ぶ姿勢だけは大切にしたいと思う今日この頃です。

 追伸

ちなみに秋に購入した私の財布、今のところ「実り」はないようです。やっぱり、「秋」は「空く」のかなあ(泣)。

とかくこの世は住みにくい…

保育者養成校の学生さんが就職シーズンを迎えています。またまたよくある質問は、

「先生、どこの園が良いの?」

逆に聞きたい!「『良い』って何が?」

でも保育業界に就職を希望する学生さんは、だいたいどこも同じような待遇(給料、休暇、多忙さなど)であることは知っています。その時点で「こんな業界は無理!」という方は、そもそも保育現場への就職は考えません。
だから彼らが「どこの園が良い?」と聞くときの「良い」は9割ほどは「人間関係」のことを指しています。

そう言えば、最近、Facebookの広告の一部にこんなものがよく掲載されていますが、ご存じでしょうか?

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わざわざキャッチフレーズにするくらいですから、求職者にとって、職場選びの条件として人間関係の良し悪しは大きなウェイトを占めているのだと思われます。しかし人間関係良好の園があるとして、どうやって「厳選」するのか、機会があれば聞いてみたいなあ(笑)。

支援センターで3歳児の子どもたちがブロック遊びをしたときのことです。ひたすら高くしたい子、くるくる回る観覧車が作りたかった子、工事現場の車両にしたい子・・・。みんなの思いはそれぞれで、限られた数のブロックをめぐって、時には強い口調も飛び出します。

f:id:ashikatan:20160919232556j:plain「Aちゃんがままごと行ったらいい!」と言うB。

Aちゃんはふらりとままごとコーナーに移動しました。

次にCはAちゃんの作ったものを自分の作品にくっつけました。
「Cちゃん、ずるい!」と怒るB。
それからも人が入ったり出て行ったり・・・ブロック遊びの人間関係はどんどん複雑化していきます。

子どもの世界でも人間関係は複雑です。
「あの人さえいなければ!」と思う人がいる・・・。
でもその「あの人」がいなくなっても、また別の人が目障りになってくるのはよくある話です。

その逃げることができない「関係」の中で、どうやって折り合いをつけるのか・・・。多分、紀元前の昔から人類が抱えている永遠のテーマです。

「あなたが犯人だったのね!」の名所に思う。

先日、フジテレビで「あなたなのね、あなたが犯人だったのね!」の名所が取り上げられていました。推理ドラマなどで最後の犯人が明らかになり、殺人の動機と経過が語り出される場面を、誰しも一度は目にしたことがあると思います。

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 「○○グルメツアー殺人事件~△△の愛憎が舞う××海」などで、よく用いられる東尋坊。この地はドラマだけでなく、自殺の名所としても有名です。ところが、ある時期からここでの自殺がめっきり減ったとか・・・。

その理由は今年の夏に配信開始されたポケモンGO! レアポケモンが現地に出現するといううわさが流れ、多くの人が訪れているそうです。

自殺防止のパトロールを行っているNPO法人の代表は、「ポケモンプレーヤーの姿を見て考え、思い直す機会になるのでは。」説明していました。


そう言えば、8月下旬に「自殺予防週間(9月10日からの1週間)に合わせて相談窓口を周知するカードを作成したので配布してください」という文面のメールが関係機関から届いていましたが、もしかするとこれよりはポケモン配置の方が効果あり?という失礼なことも考えながら、東尋坊のニュースを見ていました。

日本の自殺者数は、平成10年から連続14年で年間30,000人を超えていました(警察庁「自殺統計」より)。これは年間に交通事故で死亡する人の数倍とも言われています。この数は平成24年から減少し始めましたが、依然、年間20,000人後半数で推移しており、まだまだ自ら命を絶つ人の数は少なくないと思われます。

私が出会った数少ない自死の例について、誤解を恐れずに言えば、彼らは死に際に隙がなく、確実に命を絶つ方法を選んでいました。24時間拘束すれば話は別ですが、短期間ならともかく長期にわたってのそれは不可能です。WHOは「自殺はその多くが防ぐことのできる社会的問題」という見解を出していますが、人が本気で死ぬことを望んだら阻止するのは容易ではありません。


「死にたい→死のう」という気持ちは生きていたら誰しもが抱く思いです。
その思いを「死ぬんだ!」という決意につなげないためのストッパーは何か?
そんなことを考える自殺予防週間です。

追伸:お写真をいただき、ありがとうございました。私も一度は行ってみたいです。

教師にだけはなりません⁉︎ ②

保育者養成校では「保育・教育実習」があります。
私は実習該当学年を担当していないのですが、その時期になると、学生が私を見つけては「せんせ~、この髪の色、アウト?」と口々に聞いてきます。
あきらかな茶パツはさすがにいませんが、赤いといえば赤い?という学生に多い気がします。
実習指導では「髪の変色は不可、黒髪で行きなさい。」と指導されるので、現場の私がどのように判断するのかが気になるのでしょう。
正直、このくらいなら・・・と思わないではありませんが、聞かれたら一応「黒にしなさい。」と言うことに決めています。


実はこの「これくらい・・・」が曲者(笑)!
光の加減や何より見る人によっては「赤い」と判断されかねないので、万が一のことを考えて「絶対、黒」と指導するのです。
また、教育現場はよくも悪くも「平等」が基本です。AちゃんはOK、Bちゃんはだめ、C先生はOKと言ったのにD先生はだめと言った・・・ということには、皆さん、かなり敏感です。

 

学生対応だけでなく、さまざまな場面で個別のかかわりをしなくてはと思いつつ、いろいろなリスクを考えると、つい画一的な対応になりがちな私。

ごめんね、Sちゃん。
今の私は、いつかあなたが「絶対になりたくない」と思っていた教師像そのものであると自覚しています。

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